突然ですが、みなさんに質問させてください。
共働きが多くなった今の時代、モデルハウスの前を通ると「ママに優しい間取り」という広告をよく見かけませんか?
あれって、本当にママ全員が楽になる間取りなんでしょうか。
「6年という家づくり経験」と「家づくり相談」をさせてもらっている私の答えは・・・
「どこかのママ」には奇跡的に合うかもしれないけど、「あなた」に合っているとは限らない。
たとえば、仕事から帰宅し玄関ドアを開けたあとの動きについて考えてみましょう。
直ぐに手を洗う人(洗面所)、着替える人(クローゼット)、キッチンに行く人・・・と、それぞれの動線があると思います。
みなさん、「自分の生活動線」ってそれぞれ微妙に違うのです。
と言うことは、みなさんそれぞれに「私だけの快適な生活動線」があるのです。
その生活動線を見つけて、注文住宅の間取りに生かすことが重要となってきます。
そこで、この記事では、注文住宅を後悔しないための「自分の生活動線」の見つけ方についてお話しいたします。
注文住宅は自由であるからこそ、広告に惑わされず自分達にとって本当に快適な間取りなのか検討することが大切です。
自分達の生活動線が分かれば、それを設計図に反映することが出来ます。
反映させることで日常のストレスと家作りの後悔から解放され、新居での生活の質が確実にあがることでしょう。
注文住宅を後悔したくないのなら「自分の生活動線」を知ろう
「生活動線」とは、家の中での日常生活の流れや活動のパターンを指します。
例えば、寝室で起床したあと洗面へ行く、洗濯物を洗濯機から取り出して干す場所への移動など、これらの動きが生活動線です。
注文住宅において、施主側の生活動線に合わせた設計がされている場合は日常生活がスムーズで快適になります。
逆に、施主側の生活動線が反映されていない注文住宅だと、家でのストレスや不満の原因となり注文住宅で建てたことを後悔することになるのです。
例えば、朝の忙しい時間にキッチンとダイニングの距離感や動線が悪いと、食事の準備や片付けが面倒に感じられます。
また、トイレやバスルームに行くのにリビングを通らなければいけない間取りだと、お客様が来ているときは気を遣いますよね。
もちろん、生活動線のストレス度は人によっても違います。
洗濯機から洗濯物を取り出し、干す作業にうつる際のことを考えてみましょう。
室内で良いから直ぐ近くに干せるスペースがあるほうが良い人、近い方が良いけど洗濯物はお日様に当てて干したい人では「同じ干す」という目的でも間取りが違ってきます。
前者の方は、ランドリールームを作り洗濯機と干すスペースが同じという方向性で打ち合わせを進められそうです。
後者の方であれば、洗濯機の横にサンルームを作る方向なら希望に合いそうですよね。
このように、日常生活の1つ1つの生活動線を理解したうえで、注文住宅の間取りに反映させることが大切になってきます。
注文住宅を後悔しないために「自分の生活動線」を知る3つの方法
何気なく感じているストレスがあるなら、それはチャンス!
今の賃貸住まいでストレスになっている事はありませんか。
「脱衣室に下着やタオルが置けないから、お風呂に入る前に毎回違う部屋に取りにいかなくていけない!」
「キッチンが狭くてダイニングテーブルが置けない!」という、自分の中でハッキリしているストレスもあれば、日常生活をしていて何となくモヤモヤしているストレスがあるかもしれません。
そのモヤモヤタイム、チャンスです!
モヤモヤしながら「こうだったら良いのになー。」と、思いませんでしたか?
その「こうだったら」の「こう」って何でしょう?
そこを、1つ1つ丁寧に書きだして探っていくのです。
わが家の例でお話ししましょう。
一軒家の賃貸に暮らしていた時の「ストレスの一部」です!
- お風呂に入るまでの動線が長い
- キッチンのゴミ箱の位置
- 家の南側にコンビニができて洗濯物が丸見え
- 家の西側が大きな駐車場のため夏の西日が永遠に入る
- 縦列駐車が面倒くさい
- 断熱材効果が薄い古い家 → 夏は亜熱帯、冬は南極状態、見た事ない虫がいる
たとえば、キッチンのゴミ箱の位置。
賃貸時は、窓側に一列のキッチンで足元は観音開きの収納がある、いわゆる昭和タイプ。
ゴミ箱は少し離れた場所にしか置けませんでした。
夜にキッチンを片付けて残飯を袋に入れゴミ箱に捨てる時に、多少なりとも袋の外側が濡れている。
水滴が落ちないように手の平で支えながらゴミ箱まで数歩歩くのですが、どうしても落ちてしまう時もあります。
私は、これが、ものすごーーーくストレスでした。
理想は、キッチンシンクに立ったまま残飯の整理をしながら、シンク下のゴミ箱の蓋を足で開けてポイ!と捨てたい!
そこで、注文住宅の設計の時点でお願いした要望が次の通りです。
- シンク下は足ペダル式ゴミ箱置き場にしたい
- 床からシンク下までの高さ→ゴミが捨てられるくらいに、ゴミ箱の蓋が開くこと
*シンクの深さ、キッチンの高さなどあり、ここは理想のゴミ箱を探すのにネットや県内中を探し回りました!
この要望の結果が、下の画像になります。
残飯処理してゴミ箱に捨てるまで、私は全く動くこともなく、水滴が落ちることもなくなりました。
毎日おこなう作業の中のプチストレスって、毎日のことなのでストレスがどんどん大きくなってしまうんですよね。
見落としがちですが、このような毎日のプチストレスは必ず拾って注文住宅の設計に反映させましょう。
自分達が好きなようにできるのが注文住宅です。
後悔しないためにも、ストレスをあきらめないでくださいね!
間取りに合わせて生活することを当たり前だと思わない
賃貸住宅で生活されている方の中には、「無意識に間取りに合わせて生活している方」と「間取りや周辺環境に合わせて生活する事に前向きに疑問を感じている人」に分かれます。
無意識に間取りに合わせて生活している方は、動線が多くなる、あるべき所にある物がない、片付かないなどの問題を抱えています。
しかし、無意識なので「間取りに合わせて生活している」という自覚はありません。
そして、自分の生活動線が明確でないので、残念ながら注文住宅を作るさいに提案された間取りをそのまま受け入れてしまいます。
結果的に、注文住宅を建てたことで解消するはずだった問題は解消されていないので、ストレスが増えていき注文住宅を後悔するリスクが高くなるのです。
一方、「間取りや周辺環境に合わせて生活する事に前向きに疑問を感じている人」は、生活をしながら「疑問と改善」を繰り返しながら生活されています。
自分達ができる範囲で改善できれば、そのまま賃貸暮らしをされるでしょう。
しかし、自分達では解決できない周辺環境や人間関係、家の構造的なこともありますよね。
どうしても生活の質をさらにアップしたいとなったら、注文住宅で家作りという選択肢が出てくる可能性もあります。
そのような思考の方は、注文住宅を作るさいに「自分達の動線」や「心地良い間取り」を体感されているので、自然と設計の段階から具体的な要望をおっしゃってくるのです。
生活動線がスムーズだと生活の質が上がります。
ストレスがなければ丁寧な暮らしができて、自分達が建てた注文住宅に愛情も芽生えるでしょう。
そして、ストレスがなく穏やかに過ごせるので、子育てや趣味を楽しめて家族関係も良くなるのです。
水回りを集中させる間取りは本当に良いのか?
「ママに優しい間取り」というキャッチフレーズの見学会にいくと、水回りを集中させている間取りがほとんどです。
キッチンとバスルーム(洗濯機・洗面脱衣室)が近いという事は、キッチンにはリビングダイニングも付いてくるので、パブリックゾーンとプライベートゾーンが混在する間取りになります。
- パブリックゾーン → 家族が集まるゾーン → LDK
- プライベートゾーン → 1人やプライバシーを守りたいエリア → バスルーム・洗面脱衣室・トイレ・クローゼット・寝室・子供部屋
LDKは家族が集まりやすく、お客様がいらした時に長く滞在するエリアです。
しかし、バスルームやトイレの位置が適切でない場合、不便さを感じることになるので設計に工夫が必要です。
バスルームやトイレが近いと、扉があるにしても、音が気になってお客様が来ている時に入りずらかったりしますよね。
また、1階に水回りを集中させたことで収納スペースが取れなくなり、2階にクローゼットを作るパターンを多く見かけます。
さぁ!
ここで、よーく考えてみましょう。
衣類の管理(洗う→干す(または乾燥機)→たたむorかける)で一番のストレスって、洗い終わった後だと思いませんか?
乾燥機がある方は、その後。
洗う、乾かすはボタン一つで出来るのでストレスは感じません。
しかし、「干す(乾燥機未使用の方)、たたむ、かける」は、ボタンを押して出来るものではありませんよね。
私達が、少なからずとも時間を取られます。
そう、ここが最大のストレスポイントなのです!
その工程をいかに楽にできるかを考え設計に落とし込むほうが、時短や効率化につながります。
1階で洗って乾燥までさせたとしても、たたんだり、2階のクローゼットまで収納しに行くのって面倒ですよね。
また、意外と見落としがちなのが「たたむスペース」がどこにあるのかだったりもします。
水回りの配置に新しい視点を持つことは、注文住宅を後悔せず家族の生活の質を向上させるうえでも重要です。
広告に惑わされず、自分のストレスをよく観察しましょう。
自分だけの生活動線を見つけて、後悔のない注文住宅を実現しましょう!
注文住宅を建てるなら、自分たちの生活動線を反映させることが最も重要です。
- 今の生活のストレスを見つけて解決策を出し、注文住宅の間取りに反映させる
- 間取りに合わせて生活することに疑問を持つ
- 広告に流されない
3つのポイントを意識して、賃貸生活でのストレスを間取りに生かしていきましょうね。
「ママに優しい間取り」ではなく「私に優しい間取り」を見つけていきましょう!
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